この記事では2021年2月のPower BI updateのPreview機能で追加されたSmall Multiplesを使ったビジュアルの長所、短所について紹介します。
私は業務で主にPower BIを利用してマーケット情報やインベントリの可視化を行っていますが、レポートが増えてくるにつれ、メンテナンス作業に多くの時間を取られています…。今回のSmall Multiples機能は一つのビジュアルで複数の要素を表示できるため、デザイン、管理面で今までよりも優れています。
Power BI Premiumでないユーザーの方で、Small Multiples機能が気になっているが使えない!、試したいけど手元にちょうど良いデータが無い…という方は是非この記事でSmall Multiplesの機能をざっくり理解してください!
※こちらはあくまでPreview機能のため、正規に実装される場合は改善されている可能性もあります。
Small Multiplesの公式の解説は以下のMicrosoft公式サイトをご覧ください。(英語のみ)
https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/blog/power-bi-february-2021-feature-summary/#_Toc63074648
Contents
Small Multiplesの長所と短所 (まとめ)
長所
- カテゴリー別に複数のビジュアルを作る必要がなく、一つのビジュアルで制御可能
- 表示タイル数をレポートのデザインに合わせて調整可能
- カテゴリー分けは複数の要素を指定可能
短所
- 軸フィールドでの連結表示のon/off切り替えなどが利用不可
- 複合グラフは非対応 (折れ線付き縦棒グラフなどはpreview段階では利用不可)
- 小分けのテーブルごとに縦軸の設定ができない
それでは以下で長所と短所について詳しく解説していきます。
Small Multiplesを使用したPower BIビジュアルの作成
今回は環境省花粉観測システム はなこさん (URL: https://kafun.env.go.jp/)の全国花粉飛散データを使用してSmall Multiplesのビジュアルを作成します。
使用するデータは下記の時刻別に各測定地点の花粉飛散データが入ったファイルです。測定値が1時間当たりの花粉飛散量 (個/m2)です。前処理としてPower Queryで1時間当たりの飛散量が10000以上と降水量が1以上のデータはフィルターします。
また、地域で区分けしたいので都道府県コードと地域が入ったマスタを使用してリレーションを設定します。 リレーションの結び方、データのインポート方法については別記事で紹介しています。
Power BIのリレーションシップの管理と使い方【初心者向け】
Power BIに接続可能なデータ/サービスとグラフの作成方法【初心者向け】
Small Multiplesの作成方法は初めにビジュアルを選択します。2021/4/5日現在対応しているビジュアルは赤枠で囲った9個です。今回は集合縦棒グラフを選択します。
Small Multiples対応しているビジュアルでは、図のようにスモールマルチプルの追加表示がされます。
まずは通常の縦棒グラフを軸に年月日、凡例は地域、値に測定値を入れて作成したのが下図です!
地域ごとに色分けされていますが、凡例と年月日が多いため少し見づらい…。
次に地域をスモールマルチプルに入れたSmall Multiplesビジュアルがこちら!
データの色は全て同じですが、地域ごとに別のグラフとなっていて、飛散傾向が先ほどのグラフよりも大幅に見やすくなっています!
今までのPower BIだと、この状態を再現するにはビジュアルを地域分コピーしてそれぞれにフィルターをかけて…と非常に手間がかかりました… (修正する場合もビジュアル分あるので大変…)。
これがSmall Multiplesビジュアルの長所の一つ目で、同じ系統のビジュアルを複数作成する必要がなくなりました!
長所二つ目は、Small Multiplesのグラフの表示数を変更可能な点です。
デフォルトの画面表示数は2行×2列の表示ですが、書式のグリッドレイアウトで行×列数を変更可能です。
画面の大きさに合わせてスクロールする必要が無いように調整でき、非常に便利です。
また、要素が足りない場合空白のグラフを表示します。
スマホやタブレットでの閲覧がメインのレポートの場合、1列でスクロール式にしたり、大きな画面で見る場合は、できる限り全グラフがスクロールなしで表示するなど工夫が可能です!
長所三つ目は、スモールマルチプルの要素は複数選択可能な点です。
現在、地域の要素が含まれていますが、さらに都道府県名を加えることが可能です。
都道府県をスモールマルチプルに加えると、各都道府県のグラフが表示されます。もともとの棒グラフのようにスモールマルチプルの要素でドリルダウン/アップが可能であれば文句事なしですねー。
ここまでSmall Multiplesの長所を上げていきましたが、短所も気になりますよね…。
ここからは短所とまではいかないかもしれませんが、試してみてできなかった動作、あればうれしい要素について解説します。
まず短所一つ目ですが、軸フィールドでの連結表示のon/off切り替えなどが利用不可な点です。
通常の縦棒グラフであれば↓のように、軸の年月日の要素を四半期、月、日のカテゴリーごとに分けることが可能ですが、
Small multiplesのビジュアルではこの機能が使用できません…。
軸の要素が多い場合、ラベルの連結がoffにできないと軸名が縦長になり結構見づらいです。連結解除の機能は使用するユーザーが多いと思うのでpreviewから正規版への移行の際には解消されている可能性が高いです!(願望)
二つ目の短所は複合グラフがSmall Multiples非対応 (折れ線付き縦棒グラフなど)な点です。
折れ線と縦棒のように複合グラフを選択すると、フィールドにスモールマルチプルが表示されません。グラフ作成時にはグラフが混雑しないよう主張したいデータを棒グラフ、補助的に見せたいデータを折れ線で表示する事が多いのですが、Preview機能の段階ではどうやら不可能なようです…。こちらもきっと正規版では実装してくれますよね!! (切望)
最後の短所は小分けテーブルごとに縦軸をコントロールできない点です。
それぞれの要素の大きさが異なる (例:Aは10000台、Bは100台、Cは10台)データを分けて表示するためにSmall Multiplesを使用すると考えていたため、この機能が無いことは結構驚きです。もちろんスケールを統一することでそれぞれの要素の大小がパッと見てわかる利点がありますが、軸の設定はあくまで作成するユーザーに設定させてほしいと思います…。
以上がSmall Multiplesを使用して感じた長所と短所です。短所に関しては正規版で改善される事が想像できる (むしろもう修正に入っているのでは??)ので、是非使いこなしたいビジュアルの一つですね!!
【まとめ】Small Multiples機能の短所は正規版で解決される可能性が高い
ここまでのSmall Multiplesビジュアルの長所と短所をまとめたものがこちら。
長所
- カテゴリー別に複数のビジュアルを作る必要がなく、一つのビジュアルで制御可能
- 表示タイル数をレポートのデザインに合わせて調整可能
- カテゴリー分けは複数の要素を指定可能
短所
- 軸フィールドでの連結表示のon/off切り替えなどが利用不可
- 複合グラフは非対応 (折れ線付き縦棒グラフなどはpreview段階では利用不可)
- 小分けのテーブルごとに縦軸の設定ができない
長所に関しては改悪されることはほとんど無いと考えられます。
さらに短所は正規版で改善される可能性が高く、致命的な物では無いため十分利用できます!
以上がSmall Multiplesを使用したレポートの長所と短所です。
Small Multiplesの追加も非常に喜ばしいですが、既存のビジュアルに機能が追加されることが分かり、今後もExcelのグラフのような機能が拡充されないかワクワクしますね!
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